トップページ 総合調査 廃線調査報告書 道路調査報告書 産業遺構調査報告書 記念碑調査報告書 小ネタ ブログ リンク 管理人について

日本考古学発祥の地碑

我が国鉄道黎明期の『世界の車窓から』。

2010/02/11 公開。

概要

JR 東日本大森駅は我が国最初の鉄道が新橋~横浜間で開通したわずか 4 年後の 1876 (明治 9) 年 6 月 12 日に開業した大変古い歴史を持つ駅である。そして、さらにその翌年にアメリカの動物学者であるエドワード・S・モースが横浜から汽車に乗り新橋へ向かう途中、大森駅を発車直後に車窓から貝塚を発見した。それが大森貝塚である。

この大森貝塚の発掘が我が国の考古学・人類学の幕開けと言われている。そして大森貝塚発見から 100 周年を記念してゆかりの地とも言える大森駅ホームに『日本考古学発祥の地碑』が建てられたのである。

碑の名称からは一見鉄道は無関係であるが、このような経緯から大げさに言えば我が国の考古学・人類学の発展に鉄道が寄与したとも言えよう。そのような理由で当サイトでは記念碑調査報告書ではなく、鉄道碑調査報告書と分類して紹介する。

調査日:2007/03/04

諸元

項目 内容
正式名称 日本考古学発祥の地碑
所在地 東京都大田区大森北 1 丁目(JR 東日本大森駅ホーム)
設置年月日 1977 (昭和 52) 年 9 月
建立者 東京大森ロータリークラブ、東京大森ライオンズクラブ、東京都大森貝塚保存会

調査結果

全景

同碑はホーム中央付近に設置され、頂部には大森貝塚より出土した土器の 2 倍に拡大されたレプリカが添えられている。このように鉄道そのものを扱わない碑が鉄道駅にあるのは珍しい部類に入るかも知れない。

余談ではあるが後ろに写る車両は長く京浜東北線の顔として活躍し、2010 年 1 月を以て同線より引退した 209 系である。

日本考古学発祥の地石碑全景

詳細

背面には『E・S モース発掘百周年記念建立』と題して説明文が碑文として刻まれている。

日本考古学発祥の地石碑碑文

写真では読みづらいため、以下に全文を掲載する。

アメリカの動物学者モール博士が 1877(明治 10 年)横浜より新橋へ向かう汽車の窓から大森貝塚を発見しこれが契機になって日本の考古学が発達しました。このブロンズ像は当貝塚出土の土器を約 2 倍に拡大したものです。 1979 年 12 月

総評

同碑に関してひとつだけ疑問がある。大森貝塚の発見は碑文にもある通り 1877 年であり、百周年を記念して建てられたため、Wikipedia では 1977 年建立とあり当報告書でもそれを採用しているが、当の碑文の最後の日付は 1979 年である。これは一体どういう事なのだろうか。ご存知の方はコメント等頂けると幸いである。

大森貝塚に関する記念碑としては、実はこれだけではない。同貝塚は現在の品川区と大田区に跨る地域であり、それぞれの区が独自に記念碑を建立している(まったくお役所というところは)。

品川区のものは大森貝塚遺跡庭園として整備された公園内にあり、大田区のものは大森駅に程近い線路際に建てられている。これらの記念には未調査であるため、今後調査を進めた上で別途紹介したい。特に大田区のものについては京浜東北線の車窓から確認することが可能である。というよりむしろ線路の方を向いているのでモース博士が車窓から大森貝塚を発見したことに由来しているのかも知れない。

さすがにこれらはいよいよ以て鉄道とは無関係となるので記念碑調査報告書で取り上げたい。

なお、大森駅ではホーム上屋に古レールが使用されており、それについては以下の調査報告書を公開しているのであわせてご覧頂きたい。

参考文献等


Copyright (c) 2006-2018 Golgodenka Nanchatte Research. All Rights Reserved.