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古レール JR 東日本中央本線【四ツ谷駅】

地名は四谷でも四ツ谷駅の古レール。

2009/06/24 公開。

概要

四谷という地名の由来は Wikipedia によると現在もはっきりしないそうである。覚えやすいシンプル地名にもかかわらずである。そして JR 東日本の駅名は『四ツ谷』とツが大きい表記のようである(同社サイトの駅情報ページによる)。そして旧国鉄に買収される前の甲武鉄道の手により開業は 1894 (明治 27) 年 10 月 9 日まで遡り 110 年を超える歴史を持っているのである。

四ツ谷駅と言えば、外濠跡に沿った深い掘割地形の中の駅というロケーションと東京メトロ丸の内線が高架となっており JR 線の上を跨くという逆転現象が発生している独特な雰囲気の駅である。

なお、その東京メトロ丸の内線の 1 番線ホームからは JR の線路が見下ろせるが、その先には JR の前身である甲武鉄道が最初にここに路線を建設した当時のままの姿の旧御所隧道を見ることができるそうである(まだ私は現地調査を行っていない)。ちなみに冒頭に示した四ツ谷駅の開業時まで遡る歴史的な構造物である。 

当駅での古レール調査についてはなかなか見つからない刻印探しに必死になった結果、架構を捉えた写真が少なくなってしまったことと、2 面あるホームの両方に古レールがあるのにもかかわらず 1面については見過ごしてしまい中途半端になっていることをお詫びしたい。再訪の上で本報告書に追記したい。

調査日:2007/04/21

調査結果

架構

同駅ホーム上屋に使用されている古レール架構は、やじろべえ型とも言える独特な形態である。レールのウェブ部に大量のリベットが打ち込まれており、レール相互の隙間は丁寧に鉄板で埋められているのも大きな特徴である。線路の真上にあるのは東京メトロ丸の内線の四ツ谷駅舎であり、奥に少し写っている高架鉄橋も同線のものである。

また、見過ごしたもう 1 面のホーム(写真右側)にもさりげなく架構の異なる古レール柱が認められる。これが痛恨の宿題である。

JR 東日本中央本線【四ッ谷駅】ホーム上屋古レール全景

古レール自体は結構な長さに渡って残されており、独特の形態と相まって見応え充分である。ところで、素人の推測だがこのように古レールの間に鉄板を挟む場合実はかなり面倒な手間を必要とするのでないだろうか。

まずは正確な古レールの曲げ加工が前提となるだろうし、さらにぴったりと鉄板をはめ込むのも微調整はどうしても発生するだろう。そして何よりも古レールを再利用するような鉄が現在よりも高価で貴重だった時代の頃の作業であることを考えるとヘタな失敗も許されないことであったはずである。

JR 東日本中央本線【四ッ谷駅】ホーム上屋古レール全景

刻印

今回発見した刻印は以下の通り。わずか 1 箇所である。ただ、ホーム 1 面を見逃しているため再訪後多少は追加できる可能性もある。しかし、古レール自体の使用量はそこそこあるが、なかなか刻印は見当たらない。またリベットにより刻印の一部が判読不可能になっているのが惜しい。

No 刻印 場所 備考
1 DICK.KERR. SANDBERG DK 191? ホーム上屋 ドイツ カイザー社 191? 年製造 ※一部リベットにより判読不可

No.1

JR 東日本中央本線【四ッ谷駅】ホーム上屋古レール刻印

総評

2 面しかないホームのうち 1 面を見逃すという情けないことをしてしまったが、幸い近場の調査対象なので再訪を前提に半端ではあるが敢えて報告書を公開させて頂いた。駅等における古レールの存在は意外に Web をもってしても難しく現地での確認が命だと考えている。それでもこのようなミスを犯すというのはまだまだ我ながら詰めが甘い。今後はさらに用心したい。

やはり古レールによる構造物の最も大きな特徴は曲線にあると私は考えている。最もポピュラーなホーム上屋の柱にしても駅ごとにそれぞれ異なる曲線の表情があり、興味が尽きない。四ツ谷駅に至ってはホームごとにそれが異なるのである。

参考文献等


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