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古レール 西武鉄道池袋線【保谷駅】

眼鏡レンズと言えば HOYA。

2010/07/05 公開。

概要

西武鉄道池袋線の保谷駅は同線の前身である武蔵野鉄道による初期開業の 1915 (大正 4) 年 4 月 15 日の開業であり、池袋線そのものと同じ長さの歴史を持つ駅である。

私のように非沿線住民によっては馴染みの薄い駅のひとつであるが意外にも歴史ある駅であり、眼鏡レンズメーカーとして知られる HOYA もここ保谷が創業の地であり社名の由来でもある。

同駅での古レールはホーム上屋に使用されている。

調査実施日:2008/11/09

調査結果

架構

当駅のホーム上屋における古レール架構はいわゆる西武鉄道お得意のやじろべえ型である。写真は所沢方面を望んでいる。

同駅では橋上駅舎化に伴いホーム上屋が改修されている。写真では少々見辛いかも知れないが奥のエスカレーターのあるあたりは既に古レールは存在しない。また写真手前も通常の型鋼による架構となっており、結果的に古レール架構はわずか 3 スパンを残すのみとなっている。

西武鉄道池袋線【保谷駅】ホーム上屋古レール全景

逆に池袋方面を望む。画面奥までホーム上屋自体は続いているが、古レールはあくまでも手前 3 スパンのみである。なぜここだけかは判然としないが、ホーム延伸と改良の積み重ねの結果であろう。

西武鉄道池袋線【保谷駅】ホーム上屋古レール架構

やじろべえ部分を見る。実にシンプルな架構であり無駄もなく、貴重な鋼材であった古レールを少しでも有効に利用しようとして生まれたデザインと言えよう。改めて先人の知恵に尊敬する思いである。

西武鉄道池袋線【保谷駅】ホーム上屋古レール架構

刻印

今回発見した刻印は以下の通り。いかんせん 3 スパンでは傾向と対策は語りようがないが西武鉄道ではよく見かける刻印であった。

No 刻印 場所 備考
1 H-W-60LBS-ASCE-XI-1925 ホーム上屋 フランス ウェンデル社、60LbS / yd、アメリカ土木学会規格、1925 年 11 月製造
2 S&M-60-ASCE-1925 ホーム上屋 ベルギー サンプルモビール社、60LbS / yd、アメリカ土木学会規格、1925 年製造
3 OH TENNESSEE-6040-ASCE-1-192? ホーム上屋 平炉製鋼法、アメリカ US スチール・テネシー社、コード番号 6040、アメリカ土木学会規格、192? 年 1 月製造
4 KROLHUTA 1927 M ホーム上屋 ポーランド クロレウスカ・フータ社、1927 年製造、ジーメンス・マルチン製鋼法

No.1

西武鉄道池袋線【保谷駅】古レール刻印

No.2

西武鉄道池袋線【保谷駅】古レール刻印

No.3

西武鉄道池袋線【保谷駅】古レール刻印

No.4

西武鉄道池袋線【保谷駅】古レール刻印

総評

西武鉄道池袋線は古レールの宝庫と言える路線のひとつであるが、駅改良工事などでその多くが失われている。特に近年では各鉄道事業者において都市部の高架化が進められており、さらに拍車がかかっている。今回紹介した池袋線においても現在石神井公園駅周辺で高架化が進められている。

幸い保谷駅周辺は地平のままであり、また保谷駅自体も改良工事終了後も当報告書で紹介した通り、わずかとは言え古レールが残されているのは貴重と言える。

これからも貴重な産業遺構である古レールを少しでも多く記録していきたい。

参考文献等


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